丸さんの医療コラム

医療ジャーナリスト・丸山寛之さんの医療・健康コラムです。
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腹引っ込めば善玉増える


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 「世界ハートの日」というのがある。毎年9月の最終日曜日に世界の100を超える国々で、心臓病と脳卒中への関心をアピールするさまざまなイベントが行われる。世界心臓連合(WHF)が2000年に始めた。

 ところが、日本ではそれより15年も早い1985年、日本心臓財団が8月10日を「健康ハートの日」ときめて、各地で健康フェアを開いている。年に2回もハートの日は要らない─ということだったのか、日本は2004年までは世界のほうの催しには加わっていなかった。

 しかし、日本心臓財団はWHFの有力メンバーである。05年からは世界ハートの日にも付き合うこととなり、9月25日の日曜日、東京・有楽町と静岡県・浜松市の街頭で腹囲を測るテープメジャーをくばり、肥満防止を呼びかけた。

 世界ハートの日は、第1回の「Physical Activity(運動)」以来、毎回キャンペーンテーマを掲げてきたが、05年第6回のそれは「Healthy Weight Healthy Shape(健康的体重・健康的体型)」。腹囲を測るメジャーはそれにちなむグッズだったわけだ。

 いまさら言うまでもなく、肥満は健康の大敵。腹の深部に脂肪がどっさりたまった内臓脂肪型肥満が続くと、インスリン抵抗性(インスリンの働きが低下した状態)を引き起こし、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞などの誘因となる。動脈硬化も促進する。

 最近の研究で、脂肪細胞は、単にエネルギーを蓄えるだけでなく、多彩なホルモンやサイトカイン(サイト=細胞。カイン=作動因子。細胞と細胞の連絡係のような役目をするたんぱく質)などの生理活性物質をつくり出す内分泌細胞でもあることがわかった。

 脂肪細胞から分泌されるいろいろな生理活性物質は、ほとんどあらゆる生活習慣病の要因となる「悪玉」なのだが、一つだけアディポネクチンという「善玉サイトカイン」がある。そう聞いて「ふとるのもまんざら悪いコトばかりではないようだ」と早合点しかけたが、内臓脂肪がたまると悪玉は増え、善玉は逆に減ってしまう。そして、「低アディポネクチン血症」になると、糖尿病、高血圧、動脈硬化、心不全、肝硬変、がん(子宮内膜がん、乳がん、大腸がん)になりやすいのだそうだ。出っ腹にいいところは何一つないらしい。

 内臓脂肪型肥満のレベルは、腹囲を測ることで知ることができる。日本人の場合、腹囲径(へその上を通るウエストの寸法)が男性は85cm、女性は90cmが限界値とされている。さりとはあまりにきびし過ぎる。85cmプラス7cmの高齢肥満者としては、少しマケてはもらえぬかと言いたくもなる。それはさて、運動は、内臓脂肪を減らし、アディポネクチンを上昇させるとか。折からスポーツの秋、一丁がんばってみますか。

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