丸さんの医療コラム

医療ジャーナリスト・丸山寛之さんの医療・健康コラムです。
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コレステロールに関する朗報


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 健康診断を受けると必ず要注意の*印がついてくる項目がある。同憂の士も多いと思うのだが、総コレステロール値だ。検査結果を聞いた当座は卵やバターを控えたりもするけれど、いつの間にか元に戻ってしまい、次回もまた*印がついてくる。背が低い埋め合わせにコレステロールが高いのかもしれない。

 なぜ、コレステロールの高いのはよくないのか。動脈硬化が進んで心筋梗塞を招きやすいからだ─といわれている。

 ご存じのようにコレステロールは、人体約60兆個の細胞の構成成分であり、副腎皮質ホルモンや性ホルモンの材料であり、胆汁酸の原料でもある。体に不可欠の物質だ。昔の日本人に脳出血が多かった最大の一因は、低栄養=低コレステロールのせいで血管が脆弱になり破れやすかったからだ。

 しかし、現代日本人の血管は、過栄養=高コレステロールのせいで分厚く硬化し、破れにくいかわりに詰まりやすくなった。これを防ぐには、高いコレステロール値を下げたほうがよいとされ、食事を変え運動をしても下がらない人にはコレステロール低下薬(総称スタチン)が処方される。

 だが多くの疫学調査を検証すると、日本人の場合、スタチンでコレステロールを下げなければならない人はごく限られている。

「それは、家族性高コレステロール血症(遺伝的にコレステロールが高くなる体質で心筋梗塞になりやすい。略称FH)の人、過去に心筋梗塞を発症し再発があやぶまれる人、五十歳前後で総コレステロール値が二八〇を超える人─そんなところでしょう」と、浜崎智仁・富山医科薬科大学教授。

 近年次々に発表されている「高齢者の余命とコレステロール値の関係」についての研究によれば、コレステロール値が高いほうが長生きできる。男性の場合、死亡率がいちばん低いのは総コレステロール値二四〇~二八〇の人たちで、女性の場合は総コレステロール値の高いのは死亡率とはほとんど無関係。男女共にコレステロール値二四〇以上が最も安全域だという。これは朗報だ。

 05年4月、日本内科学会は、心筋梗塞を起こしやすい人をスクリーニングして予防するための「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」の診断基準を発表したが、それにも総コレステロール値に関する記載はない。高コレステロール血症=動脈硬化説に対する強い批判をふまえて、コレステロール値が大きな危険因子ではないことを認めたということだろうか?

 ともあれ、現在健康で、ただコレステロール値が高いだけという人は、それについての心配は全くご無用。肉や卵などを控える必要はない。「動物性食品の摂取の目安は、1日に肉を最低50グラム、それに魚ひと切れ、卵1個、牛乳1、2本を加えたいものです」─柴田博・元東京都老人総合研究所副所長はそう話している。
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