丸さんの医療コラム

医療ジャーナリスト・丸山寛之さんの医療・健康コラムです。
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血圧下げる「ニコニコ早歩き」

 ギリシャの哲人、アリストテレスは、学園の歩廊(ペリパトス)をぶらぶら歩きながら講義した。で、彼の学派はペリパトス学派とか逍遙学派と呼ばれた。
 人間の頭脳は、歩きながらだといきいきと賦活される。筋肉の運動が神経を伝わって脳を刺激するからだ。「強い脚には冴えた頭脳が宿るLと古人も言っている。頭だけではない。歩けばまず体が丈夫になる。

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 「私は、どこへ行くにも時間さえあれば歩くことにしています。東京に行っても、浜松町でモノレールを降りたら、ホテルまで歩きます。帝国ホテルヘは30分、オークラだったら40分、パレスでも50分はかかりません。東京駅からだとニューオータニが50分、オークラもやはり50分ぐらいです」と、循環器内科の権威、荒川規矩男・福岡大学名誉教授(76歳)。教授が開発した高血圧の運動療法=アラカワ・メソッド(荒川方式)=は、WHO(世界保健機関)も強く推奨している。
 荒川方式とは、その人が出せる最大限の力(最大運動強度)の半分程度の力で行う運動のこと。なぜ半分かといえば、運動量が、その人の持つ能力の50%を超えると、血液中の乳酸(いわゆる疲労物質)が急に増え始め、へばってしまうからだ。酸素の補給が間に合わず、エネルギーとして使われる糖質が不完全燃焼するためである。
 これを裏返すと、力を50%以下に抑えた有酸素運動であれば、乳酸は増えず、らくらく続けられるわけである。
 自分の持てる力の半分だけで行うこの運動のやり方を、荒川先生は「ニコニコペース」と呼んでいる。乳酸がたまってこないので、1時間でも2時間でもニコニコしながらできる。ニコニコできなかったら運動強度が50%を超えた証拠。ぺースを落とせばよい。
 「運動強度さえ50%程度に抑えたものなら運動の種類は問わない。水泳、テニス、ゴルフ、なんでもいいのですが、私がいちばんお勧めしたいのは、歩くことです。ちょっと早足で、息が切れない程度に歩くと、だいたい50%の運動になります。
 ニコニコ早歩きで、軽症の高血圧(最大血圧160ミリ前後)なら20週後には正常血圧になるという。血圧が下がれば、心臓の負担が減るし、狭くなった冠動脈のわきにはバイパス血管(側副血行路)ができる。これは、すでに狭心症を持っている人には効果的なリハビリになるし、健康な人にとっては、あらゆる生活習慣病の最良の予防法の一つである。時間は1日30分でじゅうぶんだ。
 「雨の日も風の日も歩けとは言いません。1日や2日、休んでもどうってことはない。そこが薬と違うところです。薬を1日、飲み忘れると具合のわるいこともありますが、運動にはそんな心配はいりません」
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