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涙の効用
古い話だが、外務大臣だったときの田中真紀子さんが自民党幹部との会談後、涙を流しながら反論。それについて小泉純一郎前首相が「涙は女性の最大の武器というからね」と発言、ちょっと揉めたことがあった。あのとき思い出したことばがある。スポンサードリンク
「女子の涙は勝利なり。男子の涙は降伏なり」という長谷川如是閑の警句だ。明治、大正、昭和を通じてのジャーナリスト、自由主義評論家としての業績で戦後最初の文化勲章を受けた人である。
ああいうなかなかの大人物でさえ「女子の涙」に悩まされることがあったのだろう。「勝利なり」の一語に無量の思いが込められているようで、なんだかおかしい。
もっとも、医学的には「男子の涙」もけっして「降伏」とばかりは言えない。
米国精神医学研究所のウイリアム・フレー博士によれば、「泣くことは精神の緊張をやわらげるだけでなく、その涙の中に体からの有害物質が排出される」そうである。その説の根拠はこうだ。
人の体には鼻や口を通じてさまざまな有害物質が入ってくる。体内でも活性酸素とか過酸化脂質といった有害物質がつくられる。関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症など自己免疫疾患の原因物質も、体の中でつくられる。そうした有害物質は、血液にまじって体の中を流れる。当然、涙の中にも入っている。
涙は、目じりの近くの涙腺からいつも微量ながら分泌され、目をうるおし、目の乾燥や細菌感染を防いでいる(その涙の分泌が減ったり、蒸発し過ぎたりして、目が乾いてしまう症状がこのごろはやりのドライアイだ)。そして、目頭に近い涙点から鼻涙管という細い管を通って鼻の中に落ちる。
泣くときは、涙の分泌量がいっぺんにどっと増えるため、涙の出口の涙点からの排出が間に合わなくなり、まぶたのせきを乗り越えてあふれ出てしまうわけだ。
涙の成分の約98%は水分で、残りはナトリウム、カリウムなどのほか、アルブミン、グロブリンといったたんぱく質である。
ところが、この涙の成分が、交感神経が刺激されるのと、副交感神経が刺激されるのとでは微妙に変わってくる。
副交感神経の場合は、カリウムが多く、苦い涙になるが、交感神経の場合は、カリウムが少ないため、ややからい涙になる。このことは以前から実験的に確かめられていたが、フレー博士によれば、なぜ泣くかによっても涙に含まれる化学物質の構成が違ってくる。
たとえば、感情的な涙は、痛くて泣く場合や笑いすぎて流す場合に比べて、たんぱく質の濃度が高く、体内の有害物質が多く流れ出るのだそうだ。
「男泣きはみっともない、などとやせ我慢をしなければ、胃潰瘍や心臓病になる男性はぐんと少なくなるだろう。男も、女・子供のように泣こう」と勧めている。
少し補足すれば、痛み緩和(ペイン・クリニック)の専門医は、泣くことによる鎮痛効果を実証しているし、前回の「笑いの効用」で紹介した日本医大の吉野慎一教授も、こう話している。
「中高年になると、家庭や仕事でストレスが増え、肉親や友人の死や病気なども経験するようになります。その悲しみを軽減するには、よく眠り、泣き、笑うことです」。
ああいうなかなかの大人物でさえ「女子の涙」に悩まされることがあったのだろう。「勝利なり」の一語に無量の思いが込められているようで、なんだかおかしい。
もっとも、医学的には「男子の涙」もけっして「降伏」とばかりは言えない。
米国精神医学研究所のウイリアム・フレー博士によれば、「泣くことは精神の緊張をやわらげるだけでなく、その涙の中に体からの有害物質が排出される」そうである。その説の根拠はこうだ。
人の体には鼻や口を通じてさまざまな有害物質が入ってくる。体内でも活性酸素とか過酸化脂質といった有害物質がつくられる。関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症など自己免疫疾患の原因物質も、体の中でつくられる。そうした有害物質は、血液にまじって体の中を流れる。当然、涙の中にも入っている。
涙は、目じりの近くの涙腺からいつも微量ながら分泌され、目をうるおし、目の乾燥や細菌感染を防いでいる(その涙の分泌が減ったり、蒸発し過ぎたりして、目が乾いてしまう症状がこのごろはやりのドライアイだ)。そして、目頭に近い涙点から鼻涙管という細い管を通って鼻の中に落ちる。
泣くときは、涙の分泌量がいっぺんにどっと増えるため、涙の出口の涙点からの排出が間に合わなくなり、まぶたのせきを乗り越えてあふれ出てしまうわけだ。
涙の成分の約98%は水分で、残りはナトリウム、カリウムなどのほか、アルブミン、グロブリンといったたんぱく質である。
ところが、この涙の成分が、交感神経が刺激されるのと、副交感神経が刺激されるのとでは微妙に変わってくる。
副交感神経の場合は、カリウムが多く、苦い涙になるが、交感神経の場合は、カリウムが少ないため、ややからい涙になる。このことは以前から実験的に確かめられていたが、フレー博士によれば、なぜ泣くかによっても涙に含まれる化学物質の構成が違ってくる。
たとえば、感情的な涙は、痛くて泣く場合や笑いすぎて流す場合に比べて、たんぱく質の濃度が高く、体内の有害物質が多く流れ出るのだそうだ。
「男泣きはみっともない、などとやせ我慢をしなければ、胃潰瘍や心臓病になる男性はぐんと少なくなるだろう。男も、女・子供のように泣こう」と勧めている。
少し補足すれば、痛み緩和(ペイン・クリニック)の専門医は、泣くことによる鎮痛効果を実証しているし、前回の「笑いの効用」で紹介した日本医大の吉野慎一教授も、こう話している。
「中高年になると、家庭や仕事でストレスが増え、肉親や友人の死や病気なども経験するようになります。その悲しみを軽減するには、よく眠り、泣き、笑うことです」。
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