丸さんの医療コラム

医療ジャーナリスト・丸山寛之さんの医療・健康コラムです。
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熱中症

 暑い!暑い!気象庁はナニをやってるんだ!少しは涼しくしたらどうなんだ!なんて、暑さにいかれて冗談のデキもいまひとつだが、とにかく暑い!
 東京消防庁によると、最高気温が三一度を超えると熱中症患者が増え始め、三四度以上になると急増する。その発生率は高齢者ほど高く、七十代は六〇歳以下の約二倍、八十代では一〇倍にもなるという。

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 むろん、若いからといって油断はできない。炎天下のゴルフなどで水分補給を怠ると体温のバランスが崩れ、車でいえばオーバーヒート状態になる。ゴルフに熱中して熱中症になっちゃつまらない。熱中症は、症状の軽い順に「日射けいれん病」「熱痙撃」「熱疲労」「熱射病」に分けられる。
 いちばん軽い日射病は、暑い日差しの下にいるうちに気持ちが悪くなり、頭がボーッとして、頭痛やめまい、吐き気などが起こる。涼しいところに移り、水分を補給し、おでこに冷たいタオルなどを当てて冷やし、一時間も横になっていれば、回復する。
 熱痙攣は、日射病の症状に加えて、足や腕などの筋肉に痛みを伴うケイレンが起こる。大汗のせいで電解質(水に溶けると電気を通し「イオン」に変わる物質。ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)が失われるためだ。
 熱疲労は、脱水状態のため体の熱を放散しきれず「うつ熱状態」に陥り、体温が上がり、血圧が下がり、脈が早くなる。意識が薄れる「意識障害」もみられる。
 熱射病は、熱疲労よりさらにうつ熱が進み、体温は四〇度を超える。汗が出なくなり、皮膚が紅潮し、乾燥する。意識障害も重く、昏睡に陥る例も少なくない。死が差し迫っている状況だ。超緊急に集中的救命治療をしなければならない。熱痙攣や熱疲労なら一般病院でもいいが、熱射病の場合は、一刻を争って救命救急センターへ運ぶべきだ。
 救急車を待つ間にやることは、涼しい場所で、できるだけ体温を下げる。これに尽きる。
 木陰や冷房の効いた部屋など涼しい、平らな場所に寝かせ、襟元のボタンやズボンのベルトなどは緩めてあげる。
 体温を下げるには、動脈が皮下の近くを走っているところ(首の横、わきの下、足のつけ根)を冷やすのが効果的だ。冷たいタオルや氷嚢を当てるか、水をかけたあと、湿ったタオルをのせて、ウチワであおいで風を送ってもいい。
 絶対にやってはいけないのは、昏睡状態の人に水を飲ませようとすること。無理に飲ませると、窒息する恐れがある。
 熱中症は、戸外でだけ起こるとは限らない。お年寄りや乳幼児などは、車の中や閉め切った室内でも起こることがある。
 乳幼児は自分で症状を訴えることができない。泣いているようならまず安心だが、ぐったりしていたら、すぐお医者さんに診てもらおう。
 暑い日の運動や作業のさいは、帽子をかぶり、適度に休憩し、早め早めに水分をとろう。ただし、水には電解質がほとんど含まれてない。スポーツドリンクのようなイオン飲料がいい。
 昔、重労働をする人が、塩をなめなめ水を飲んだのは、電解質を補う知恵だったわけである。
(「信用組合」2003年7月号掲載)
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